吉祥
- 2017/06/13
- 22:25
もう35年以上前になりますが、当時、三塚幸彦(泉州)さんが住んでいた狛江のアパートに行くと、彼から買ったばかりの判子を見せられました。実印、銀行印、普通印の3組揃いです。ビックリするじゃありませんか、12万円だと言うのです。
当時はまだ三塚さんは名を成す前で,、チョット前まで日給6千円でカーテンや壁紙貼りのバイトをしていて金は無い頃でしたから、「どうしてまた」と訊きましたよ。
「開運印鑑」と称する物で、訪問販売の男の口車に乗って「10回の分割で良いから」と言うので、ついつい断れずに購入したという事でした。
三塚さんは非常に強い性格で、行動も明快を好み、またズケズケとモノを言いますが、反面、大変にお人好しでもありますし、他人に壁を作らない性格なので、当時のアパートには、よく見知らぬ人がいあわせました。
極めて怜悧な人ですから、勿論、「開運グッズ」なんか信用しているわけがありません。購入したのは、人の頼みを無下に断れない彼の人の良さです。
「開運印鑑」は、山梨の小さな判子屋が始めて、一躍大当たりをとり、そのおかげで大企業になったというシロモノです。「開運云々」はともかくとして、言いだしっぺには多大な開運をもたらした事は事実です。
三角の判子、一部に欠けの有る判子とか縁起が悪いんだってさ。材質も象牙、水牛は良くて、後なんだったっけか?まあ、あんなモンでも信じる人がいたからこそ売れたんでしょうな。
どんな道具にも「吉相」と言われているモノ、より正確には誰かがデッチ上げたシルシが有りマッセ。明治維新の功労者で、土佐出身者としては例外的に恵まれた人物に田中光顕がおりますな。伯爵で90幾つの長寿に恵まれ昭和10年代まで生きました。
この人は高杉晋作に引き立てられたのですが、その切っ掛けは佩刀の吉相が高杉の目に留まったからです。たしか安芸友安とかいう刀でしたわな。
田中光顕にねだって自分の物にした高杉晋作が若死にでしたから、つまりは「吉祥刀」と言ってもペニシリンほどにも効かないわけですなあ。
尺八の代表的な吉祥に「雪割れ」が有ります。根に生じる細長い三角の亀裂です。これはタケノコから竹になる過程で、石なんかを抱き込んでしまい生じるのですが、「竹の生命力の強さを表す」とかで珍重されます。
関西では埋め、関東では伝統的にそのままにされました。
ある時に、送った尺八が返品されてきました。理由は「根に大きな割れが有る」。それ以来、送る時には「雪割れ」の説明をするようにしていますが、ナルホド、理屈を付けなければ「割れ」でもありますな。ただ、「硬い竹は割れるけど音味が良い」とか「この尺八は練習しているうちに竹の細胞が変化して鳴り易くなる」とかの迷説と異なり、「雪割れは縁起が良い」は、ドウシテと言われたら困るけど、まあ実害も有りませんわな。
このくらいは雅量の範囲ですぜ。
当時はまだ三塚さんは名を成す前で,、チョット前まで日給6千円でカーテンや壁紙貼りのバイトをしていて金は無い頃でしたから、「どうしてまた」と訊きましたよ。
「開運印鑑」と称する物で、訪問販売の男の口車に乗って「10回の分割で良いから」と言うので、ついつい断れずに購入したという事でした。
三塚さんは非常に強い性格で、行動も明快を好み、またズケズケとモノを言いますが、反面、大変にお人好しでもありますし、他人に壁を作らない性格なので、当時のアパートには、よく見知らぬ人がいあわせました。
極めて怜悧な人ですから、勿論、「開運グッズ」なんか信用しているわけがありません。購入したのは、人の頼みを無下に断れない彼の人の良さです。
「開運印鑑」は、山梨の小さな判子屋が始めて、一躍大当たりをとり、そのおかげで大企業になったというシロモノです。「開運云々」はともかくとして、言いだしっぺには多大な開運をもたらした事は事実です。
三角の判子、一部に欠けの有る判子とか縁起が悪いんだってさ。材質も象牙、水牛は良くて、後なんだったっけか?まあ、あんなモンでも信じる人がいたからこそ売れたんでしょうな。
どんな道具にも「吉相」と言われているモノ、より正確には誰かがデッチ上げたシルシが有りマッセ。明治維新の功労者で、土佐出身者としては例外的に恵まれた人物に田中光顕がおりますな。伯爵で90幾つの長寿に恵まれ昭和10年代まで生きました。
この人は高杉晋作に引き立てられたのですが、その切っ掛けは佩刀の吉相が高杉の目に留まったからです。たしか安芸友安とかいう刀でしたわな。
田中光顕にねだって自分の物にした高杉晋作が若死にでしたから、つまりは「吉祥刀」と言ってもペニシリンほどにも効かないわけですなあ。
尺八の代表的な吉祥に「雪割れ」が有ります。根に生じる細長い三角の亀裂です。これはタケノコから竹になる過程で、石なんかを抱き込んでしまい生じるのですが、「竹の生命力の強さを表す」とかで珍重されます。
関西では埋め、関東では伝統的にそのままにされました。
ある時に、送った尺八が返品されてきました。理由は「根に大きな割れが有る」。それ以来、送る時には「雪割れ」の説明をするようにしていますが、ナルホド、理屈を付けなければ「割れ」でもありますな。ただ、「硬い竹は割れるけど音味が良い」とか「この尺八は練習しているうちに竹の細胞が変化して鳴り易くなる」とかの迷説と異なり、「雪割れは縁起が良い」は、ドウシテと言われたら困るけど、まあ実害も有りませんわな。
このくらいは雅量の範囲ですぜ。
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