人間のクズ
- 2017/06/26
- 22:22
私の大学時代はよく言われたものです。「士農工商、その下は?」。「ハイ、大学生です」。何しろ親の金で学校に入ってるくせに年中遊んでばかりいる。そのくせ生意気。しかも人の役には立っていません。それどころかアカにカブレた学生にいたっては社会に対して破壊活動までしていた。これを「人間のクズ」と言わずして、他に言いようも有りません。
「学生の本分は勉強だろう」ですって。アナタねえ、まあ良いや、私学の文科系で、そんな事を本気で思っていた人だっていないわけではなかったでしょうから、あまりコケにするのは考え物ですな。だから証拠を見せる。でも、これでもマダ言う?。
関東学生三曲連盟の渉外局長に、西山さんの任期満了をうけて私の同僚の古市が就任しました。その夜ですよ、西山さんと古市ったら、山手線の中で新聞紙を敷いて、一升瓶を抱え込んで延々と酒盛りをやっていたんですぜ。他の乗客に「こいつら人間のクズだ」と吐き捨てるように言われ、それに怒って言い返したんですから、まあ救いは有りませんな。
三塚泉州さんと同学年だった明治大の田中(マサシ)なんか満員電車の網棚をハンモック代わりにして熟睡していました。それでいて、今では新潟駅構内にも出店を持つ有名な団子屋の社長ですから、ホントこの国はどうなってんでしょう?
こういうテアイを別にして、普通、当時の大学生は「自分達が人間のクズ」だとの自覚はありました。ですから、そこを衝かれると実に弱い。
1972年。私が4年生の時です。私の法政の同期で当時の関学三委員長だった粟田。熊ですが、私に相談を持ち掛けてきました。
「ナア大橋よ、俺達って尺八を吹くばかりで、実は何も形に残る事をしてきてないと思わないか?」。
そういえばそうだよな、実は俺も4年間遊び暮らしたことに対して形而上学的な疑問を感じていた矢先だったんだ。
「だからよ、ここらで一つ実のあるモノを残さないか」。
粟田、オメエよ、オレとつるんでたからにはバカには違いあるめえが、それでもオレよりはナンボかマシだったんだな。賛成だ。
そういうわけでの手始めは尺八を作って、法政大学三曲会に寄付して後輩のアンサンブルの役に立てようというアイデアでした。
法政大学三曲会は前前年から現代邦楽路線に舵をきっていましたが、合奏に必要な尺八のうち、2尺3寸は粟田が、そして2尺1寸は林(梅毒庵)が、1尺6寸は私と林が持っているだけで、私達4年生が卒業したら長管はおろか1尺6寸も無い有様でした。
そこで、粟田の言い分の骨子。
旭川(粟田の実家)に製管師がいる。素人製管師だなんて当時は知りません、その人が1万円で尺八を作ってくれる。普通の2,、3割だよな。その人に外観はどうでも良いと言えば1本6,7千円で作ってくれると思う。
だから、とりあえず1万ずつ出し合って1尺6寸、2尺1寸、2尺3寸を作ってもらい、アンサンブル曲が出来る様にしようじゃないか。そういうものでした。
それが私の1万円ともどもウヤムヤ。いや、そうじゃねえ、ヤツの酒代に化けたに違いねえ。当時の1万と言えば、学食のウドンが50円だから、そう、ともかくウドンなら何杯か? 計算にソロバンがいるほどの大金じゃねえかよ。それを、よくも。に、人間のクズだ~。
邦楽では、もう30年も前から実券をガチ売りしようとすれば、演奏、曲ともに質の高い現代曲をセレクトしなければなりませんし、その主力は今も昔も学生。大学生は「人間のクズ」かも知れませんが、邦楽にあって何十年も前から最先端の地平を開いてきました。
この重要な位置にいる大学邦楽が今にいたるも楽器に苦しんでいます。プラスチック尺八はコストメリットが働かない1尺8寸以外には生産が無いので、高い価格の竹尺八を買う事になりますが、調達が十分ではない。
昔から私の所ではアンサンブル用に安価な尺八を学生さんの為に提供してきましたが、絶対数が足らない。私といえども「有る時払いの催促無し」ー学生さんは本当だって知ってるよなーの大学生相手の商売を一定量以上は出来ないんですよ。
「だから払えと」言ってるんとチャイますがな、大學のクラブ使用の尺八は何にも増して大切です。ここが現在の尺八界で相対的に一番マシな技術を持ち、また将来への布石でもあります。
ですから安価な多種の管をこれからもご提供します。ただ、これは守って欲しい。支払いの期限は構わない。ですけど必ず払って下さい。そして、約束した期限は守ってね。
「学生の本分は勉強だろう」ですって。アナタねえ、まあ良いや、私学の文科系で、そんな事を本気で思っていた人だっていないわけではなかったでしょうから、あまりコケにするのは考え物ですな。だから証拠を見せる。でも、これでもマダ言う?。
関東学生三曲連盟の渉外局長に、西山さんの任期満了をうけて私の同僚の古市が就任しました。その夜ですよ、西山さんと古市ったら、山手線の中で新聞紙を敷いて、一升瓶を抱え込んで延々と酒盛りをやっていたんですぜ。他の乗客に「こいつら人間のクズだ」と吐き捨てるように言われ、それに怒って言い返したんですから、まあ救いは有りませんな。
三塚泉州さんと同学年だった明治大の田中(マサシ)なんか満員電車の網棚をハンモック代わりにして熟睡していました。それでいて、今では新潟駅構内にも出店を持つ有名な団子屋の社長ですから、ホントこの国はどうなってんでしょう?
こういうテアイを別にして、普通、当時の大学生は「自分達が人間のクズ」だとの自覚はありました。ですから、そこを衝かれると実に弱い。
1972年。私が4年生の時です。私の法政の同期で当時の関学三委員長だった粟田。熊ですが、私に相談を持ち掛けてきました。
「ナア大橋よ、俺達って尺八を吹くばかりで、実は何も形に残る事をしてきてないと思わないか?」。
そういえばそうだよな、実は俺も4年間遊び暮らしたことに対して形而上学的な疑問を感じていた矢先だったんだ。
「だからよ、ここらで一つ実のあるモノを残さないか」。
粟田、オメエよ、オレとつるんでたからにはバカには違いあるめえが、それでもオレよりはナンボかマシだったんだな。賛成だ。
そういうわけでの手始めは尺八を作って、法政大学三曲会に寄付して後輩のアンサンブルの役に立てようというアイデアでした。
法政大学三曲会は前前年から現代邦楽路線に舵をきっていましたが、合奏に必要な尺八のうち、2尺3寸は粟田が、そして2尺1寸は林(梅毒庵)が、1尺6寸は私と林が持っているだけで、私達4年生が卒業したら長管はおろか1尺6寸も無い有様でした。
そこで、粟田の言い分の骨子。
旭川(粟田の実家)に製管師がいる。素人製管師だなんて当時は知りません、その人が1万円で尺八を作ってくれる。普通の2,、3割だよな。その人に外観はどうでも良いと言えば1本6,7千円で作ってくれると思う。
だから、とりあえず1万ずつ出し合って1尺6寸、2尺1寸、2尺3寸を作ってもらい、アンサンブル曲が出来る様にしようじゃないか。そういうものでした。
それが私の1万円ともどもウヤムヤ。いや、そうじゃねえ、ヤツの酒代に化けたに違いねえ。当時の1万と言えば、学食のウドンが50円だから、そう、ともかくウドンなら何杯か? 計算にソロバンがいるほどの大金じゃねえかよ。それを、よくも。に、人間のクズだ~。
邦楽では、もう30年も前から実券をガチ売りしようとすれば、演奏、曲ともに質の高い現代曲をセレクトしなければなりませんし、その主力は今も昔も学生。大学生は「人間のクズ」かも知れませんが、邦楽にあって何十年も前から最先端の地平を開いてきました。
この重要な位置にいる大学邦楽が今にいたるも楽器に苦しんでいます。プラスチック尺八はコストメリットが働かない1尺8寸以外には生産が無いので、高い価格の竹尺八を買う事になりますが、調達が十分ではない。
昔から私の所ではアンサンブル用に安価な尺八を学生さんの為に提供してきましたが、絶対数が足らない。私といえども「有る時払いの催促無し」ー学生さんは本当だって知ってるよなーの大学生相手の商売を一定量以上は出来ないんですよ。
「だから払えと」言ってるんとチャイますがな、大學のクラブ使用の尺八は何にも増して大切です。ここが現在の尺八界で相対的に一番マシな技術を持ち、また将来への布石でもあります。
ですから安価な多種の管をこれからもご提供します。ただ、これは守って欲しい。支払いの期限は構わない。ですけど必ず払って下さい。そして、約束した期限は守ってね。
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