虹の時代
- 2014/12/22
- 20:02
昭和50年代に1年に1度の邦楽の祭典として現代日本音楽祭が有りました。1回目、2回目は私のプロデュースでしたが、3回目は法政大学三曲会の学生達がやり、4回目からは関東学生三曲連盟に主催が移り、結局10回まで続きました。
1回、2回は規模、メンバー、内容ともに、その年の邦楽演奏会で最高だったと思います。1350席の九段会館を「義理売り」無しで満席にしました。
今、私がこれまでに聴いた邦楽家達でもう一度演奏会を企画するとしましょう。夢の演奏会です。
邦楽家には出順にこだわる人とこだわらない人がいます。どの順番でも気持ち良くやって下さる方の筆頭は山口五郎先生です。当時、大物ばかり揃ったので、この曲順と言うものには実に気を使いました。
1曲目 酒井竹保で「竹籟五章」。これは「口開け」ですから重要だと言いましょう。。本当は一曲目が特に重要ということは無いのですが、誰かに演奏してもらわなければならないのですから、こういう言い方をしさえすれば酒井先生は万事承知のうえで騙されてくださいます。
2曲目は山本邦山と沢井忠夫で「春の海」 こうでなきゃ客は喜ばないですよ。当時の邦楽界で最高の人気コンビです。邦楽の演奏会だとてショー性は必要ですから・・・。二人ともプロ中のプロですから、曲順にも曲目にもこだわりません。
3曲目 野坂恵子で二十弦を、曲はご存知「天如」。沢井忠夫とならぶ現代箏曲の本物の天才登場。
4曲目 山口五郎、箏は藤井久仁江、三弦・井上道子で「尾上の松」 これは私がかつて実現しました。最高最高最高。
5曲目 横山勝也で「産安」 もっと長い曲をですって、分かってないなあ・・・。
休憩
6曲目 宮田耕八朗と羽賀幹子、藤田都志、吉川富子の「さわらび会」で船川利夫「箏四重奏曲」。箏が「さわらび会」ですから、尺八は宮田耕八朗か坂田誠山でなくてはいけません。邦楽の世界の事情で・・・。現代曲の重奏物だったら当時でこのメンバーの上を期待できる組み合わせってチョット無いですよ。
7曲目 青木鈴慕、「残月」 箏は小林玉枝、三弦は富山清琴。意外な組み合わせでしょう。私は結構こういう事をやってきましたよ。すごく意外ということもやらなくては切符がでませんて。話しをしてみると案外、皆さま面白がって承知してくれましたよ。青木鈴慕に都山流本曲「木枯らし」を吹いてもらったことも有るんですよ。
さあ、佳境に入ってきました。青木師匠は曲順に煩いですから、この後は超大物が連続します。
8曲目 阿部桂子の三弦一本で「雪」 墨一色で書いた絵にトコロドコロ銀箔が散っていると言うと分かってもらえますか、、静寂で凄絶、まさに究極の地歌の美しさ。
9曲目 中能島欣一 もう「三つの断章」でしょう。「山田の天皇」と言うににふさわしい大先生の超名品。
10曲目 納富寿童、箏・菊原初子、三弦・米川文子で「八重衣」。どうだ、文句有るか?
かくて幕は静かに降り、夢は過ぎていきます。
えっ、レトロすぎて楽しめないって。御冗談でしょ、尺八界は60歳以下の人は15パーセントしかいないんですよ。ここが私達の「虹の時代」です。
こういう方達と生きた時代を同じくして、この組み合わせの大半を実現出来たことを私は誇りに思っています。
1回、2回は規模、メンバー、内容ともに、その年の邦楽演奏会で最高だったと思います。1350席の九段会館を「義理売り」無しで満席にしました。
今、私がこれまでに聴いた邦楽家達でもう一度演奏会を企画するとしましょう。夢の演奏会です。
邦楽家には出順にこだわる人とこだわらない人がいます。どの順番でも気持ち良くやって下さる方の筆頭は山口五郎先生です。当時、大物ばかり揃ったので、この曲順と言うものには実に気を使いました。
1曲目 酒井竹保で「竹籟五章」。これは「口開け」ですから重要だと言いましょう。。本当は一曲目が特に重要ということは無いのですが、誰かに演奏してもらわなければならないのですから、こういう言い方をしさえすれば酒井先生は万事承知のうえで騙されてくださいます。
2曲目は山本邦山と沢井忠夫で「春の海」 こうでなきゃ客は喜ばないですよ。当時の邦楽界で最高の人気コンビです。邦楽の演奏会だとてショー性は必要ですから・・・。二人ともプロ中のプロですから、曲順にも曲目にもこだわりません。
3曲目 野坂恵子で二十弦を、曲はご存知「天如」。沢井忠夫とならぶ現代箏曲の本物の天才登場。
4曲目 山口五郎、箏は藤井久仁江、三弦・井上道子で「尾上の松」 これは私がかつて実現しました。最高最高最高。
5曲目 横山勝也で「産安」 もっと長い曲をですって、分かってないなあ・・・。
休憩
6曲目 宮田耕八朗と羽賀幹子、藤田都志、吉川富子の「さわらび会」で船川利夫「箏四重奏曲」。箏が「さわらび会」ですから、尺八は宮田耕八朗か坂田誠山でなくてはいけません。邦楽の世界の事情で・・・。現代曲の重奏物だったら当時でこのメンバーの上を期待できる組み合わせってチョット無いですよ。
7曲目 青木鈴慕、「残月」 箏は小林玉枝、三弦は富山清琴。意外な組み合わせでしょう。私は結構こういう事をやってきましたよ。すごく意外ということもやらなくては切符がでませんて。話しをしてみると案外、皆さま面白がって承知してくれましたよ。青木鈴慕に都山流本曲「木枯らし」を吹いてもらったことも有るんですよ。
さあ、佳境に入ってきました。青木師匠は曲順に煩いですから、この後は超大物が連続します。
8曲目 阿部桂子の三弦一本で「雪」 墨一色で書いた絵にトコロドコロ銀箔が散っていると言うと分かってもらえますか、、静寂で凄絶、まさに究極の地歌の美しさ。
9曲目 中能島欣一 もう「三つの断章」でしょう。「山田の天皇」と言うににふさわしい大先生の超名品。
10曲目 納富寿童、箏・菊原初子、三弦・米川文子で「八重衣」。どうだ、文句有るか?
かくて幕は静かに降り、夢は過ぎていきます。
えっ、レトロすぎて楽しめないって。御冗談でしょ、尺八界は60歳以下の人は15パーセントしかいないんですよ。ここが私達の「虹の時代」です。
こういう方達と生きた時代を同じくして、この組み合わせの大半を実現出来たことを私は誇りに思っています。
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