ルーツ
- 2017/11/08
- 18:23
11月3日に邦楽ジャーナルの田中社長が上海で尺八に関する講演をしました。私にも依頼が有りましたが、これまでの中国人相手の会話経験から、質問の大体の所は予想出来ましたので、私は遠慮しました。
「何故尺八って高いんだ?」、この質問は必ず出ますし、当日も事実出ましたが、これに対して真面目に答えたら同業者に対する誹謗中傷あるいは営業妨害になります。「だって、オマエは何時も平気で言ってるじゃないか」という御意見も有りましょう。でも、日本人以上に尺八の知識の十分でない中国人相手に、まして講演というアラタマッタ場で言うのは、本当の事であっても、してはならないとの判断です。
ウチのおかげで「潰れた」あるいは「経ちいかなくなった」と言う製管師は、私が聞いてる範囲でも2,3軒ではききません。それは、そういう面も有るというだけで事実ではないですが、全くの無根というのでも有りません。でも正当な競争で潰れるのは自己責任、仕方のない事だと思っています。ですから、外国みたいに相手が反論の仕様のない場での同業者批判はしたくないのです。
これはこれとして、「尺八は中国の楽器」。このスタンスは4年前に初めて中国大陸で展示会をやったおり、神崎憲さんに「くれぐれも守ってくれ」と強く釘を刺された事です。「楽器のルーツなんか何処でも良いじゃないか?」というのは普通の人であり、日本の尺八ジイサンと中国人には通じません。
「尺八は中国の楽器で里帰りしている」、この構図を守らないと中国では現時点ではビジネスにブレーキがかかります。今回も確認しましたが、やはり「そういう線を守ってほしい」との事なので、やはり私より田中さんの方が適任だと思いました。
「尺八のそもそものルーツは7世紀、唐時代の中国」。この事には万人異論が有りません。トンデモ話をデッチアゲて商売するには、尺八って市場規模が小さすぎて労力が報われませんし、マジで異論研究をするにしては、根本史料が少なすぎるのですわ。ですから「起源は中国」。
でも、ここで中国人が問題にしているのは「普化尺八」です。「13世紀、南宋から覚心が日本に持って帰った」、この話を守ってほしいという事なのです。
「中国に尺八を里帰りする」、この運動が出来たのは16,7年前ですかね。10人くらいの尺八吹きが、この合言葉の本に集い、覚心ゆかりの地、杭州に1年に1回行って尺八を吹いていました。神崎さんもその1員でしたし、現在中国に移住して地無し尺八を広めている塚本さんもメンバーでした。和田相邑さんを通じて毎年私の尺八を何本か買って下さり、杭州で寄付してきました。虚無僧研究会会長の小菅大徹先生にも同じ用途で3本買っていただきましたので、通算すると私の所だけで20本くらいの尺八が杭州に寄付されたことになります。全て会員のポケットマネーです。「何とかなりませんか、杭州で尺八を待っている人が5百人もいる」と和田さんに相談されたので、「現地生産しかないですよ。その為の協力はします。しばらく日本に来てウチの仕事を手伝って、尺八制作を学ぶ人を見つけてください。私が給料を払います」と提案しました。
でも、10年前の「サーズ騒動」で、この「里帰り運動」は中断しました。その後の復活も有りません。
「ところで尺八は中国の楽器ですか?」、今回の中国行きで、こう訊かれました。丁度、夕食の時でしたからね、こう答えました。
この並んでいる中華料理、この中には中国起源ではない物も有ります。他の地域に有った物を取り込んで改良して、今では多くの人が中国の料理だと思っています。尺八は起源は中国、今の尺八は日本の伝統楽器。それで良いのではないですかね」。
ルーツとかは「知って良し知らなくて良し」ではないかと思います。少なくとも、そのルーツとかは他の物事に優先するような位置にはないと思うんです。ですから中国人に言いました。
「正統王朝に認定されるもので中国初の異民族王朝は鮮卑人の建てた北魏。でも代々漢人と通婚していて最後の方の皇帝だと鮮卑の血は百分の一以下。逆に唐の李家は本当は鮮卑だと言われています。ロシアのロマノフ朝だってそうでしょう。血統で言ったらドイツ人になりますよ。ですから、こういうルーツは知っていたって良いけど、それによって正統性云々と言うような事ではないと思います」。
私はと言えば、正統性とかは商売上の都合以外では値打ちを持たないものだと思っています。
「何故尺八って高いんだ?」、この質問は必ず出ますし、当日も事実出ましたが、これに対して真面目に答えたら同業者に対する誹謗中傷あるいは営業妨害になります。「だって、オマエは何時も平気で言ってるじゃないか」という御意見も有りましょう。でも、日本人以上に尺八の知識の十分でない中国人相手に、まして講演というアラタマッタ場で言うのは、本当の事であっても、してはならないとの判断です。
ウチのおかげで「潰れた」あるいは「経ちいかなくなった」と言う製管師は、私が聞いてる範囲でも2,3軒ではききません。それは、そういう面も有るというだけで事実ではないですが、全くの無根というのでも有りません。でも正当な競争で潰れるのは自己責任、仕方のない事だと思っています。ですから、外国みたいに相手が反論の仕様のない場での同業者批判はしたくないのです。
これはこれとして、「尺八は中国の楽器」。このスタンスは4年前に初めて中国大陸で展示会をやったおり、神崎憲さんに「くれぐれも守ってくれ」と強く釘を刺された事です。「楽器のルーツなんか何処でも良いじゃないか?」というのは普通の人であり、日本の尺八ジイサンと中国人には通じません。
「尺八は中国の楽器で里帰りしている」、この構図を守らないと中国では現時点ではビジネスにブレーキがかかります。今回も確認しましたが、やはり「そういう線を守ってほしい」との事なので、やはり私より田中さんの方が適任だと思いました。
「尺八のそもそものルーツは7世紀、唐時代の中国」。この事には万人異論が有りません。トンデモ話をデッチアゲて商売するには、尺八って市場規模が小さすぎて労力が報われませんし、マジで異論研究をするにしては、根本史料が少なすぎるのですわ。ですから「起源は中国」。
でも、ここで中国人が問題にしているのは「普化尺八」です。「13世紀、南宋から覚心が日本に持って帰った」、この話を守ってほしいという事なのです。
「中国に尺八を里帰りする」、この運動が出来たのは16,7年前ですかね。10人くらいの尺八吹きが、この合言葉の本に集い、覚心ゆかりの地、杭州に1年に1回行って尺八を吹いていました。神崎さんもその1員でしたし、現在中国に移住して地無し尺八を広めている塚本さんもメンバーでした。和田相邑さんを通じて毎年私の尺八を何本か買って下さり、杭州で寄付してきました。虚無僧研究会会長の小菅大徹先生にも同じ用途で3本買っていただきましたので、通算すると私の所だけで20本くらいの尺八が杭州に寄付されたことになります。全て会員のポケットマネーです。「何とかなりませんか、杭州で尺八を待っている人が5百人もいる」と和田さんに相談されたので、「現地生産しかないですよ。その為の協力はします。しばらく日本に来てウチの仕事を手伝って、尺八制作を学ぶ人を見つけてください。私が給料を払います」と提案しました。
でも、10年前の「サーズ騒動」で、この「里帰り運動」は中断しました。その後の復活も有りません。
「ところで尺八は中国の楽器ですか?」、今回の中国行きで、こう訊かれました。丁度、夕食の時でしたからね、こう答えました。
この並んでいる中華料理、この中には中国起源ではない物も有ります。他の地域に有った物を取り込んで改良して、今では多くの人が中国の料理だと思っています。尺八は起源は中国、今の尺八は日本の伝統楽器。それで良いのではないですかね」。
ルーツとかは「知って良し知らなくて良し」ではないかと思います。少なくとも、そのルーツとかは他の物事に優先するような位置にはないと思うんです。ですから中国人に言いました。
「正統王朝に認定されるもので中国初の異民族王朝は鮮卑人の建てた北魏。でも代々漢人と通婚していて最後の方の皇帝だと鮮卑の血は百分の一以下。逆に唐の李家は本当は鮮卑だと言われています。ロシアのロマノフ朝だってそうでしょう。血統で言ったらドイツ人になりますよ。ですから、こういうルーツは知っていたって良いけど、それによって正統性云々と言うような事ではないと思います」。
私はと言えば、正統性とかは商売上の都合以外では値打ちを持たないものだと思っています。
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