尺八の価格の差

尺八の価格は何処で決まるのか？ですって。　何を今さら・・・、「見た目」に決まってるじゃないですか。

「見た目」すなわち竹材と言い直しても良いでしょう。竹材で10万円すると聞くと皆ビックリしますが、キョウビ竹ごときで20万する物も有りまっせ。
１万円の竹で作った尺八が10万円だから、１０引く１で9万、故に10万の竹なら19万の尺八、こうはなりませんですわ。まず50万ですかね。ボッタクリが通れば100万、200万ですわ。
「高い竹だと性能が良くなるのか？」って、アナタ　シロウト？　竹の材質が音と何の関係も無いという知識が一般化した今となっては、そんなことを真顔で言ったらマジ嗤われまっせ。

見た目がいかに大切か、女の子のいる飲み屋に行けば分かるでしょう。高級な飲み屋と安酒場では女の子のキレイさがまるで違いますわ。銀座のクラブでもなければ、とりあえず女の子の知性や性格は後回しでっしゃろ。それでいて飲んでる酒は同じでも飲み代は雲泥の差ですぜ。
テレビの時代劇を見て見なされ、私の様な通になると、出てきた人物を見ただけで、それが善人か悪人か分かるもんです。顔の悪いヤツは性根も悪い、顔の良い人は心も美しい。これをドラマとは言え堂々と主張して問題にならないのはテレビだからとちゃいまっせ。皆自分の胸に手を当ててみなされや・・・
こうでなきゃ誰も高い尺八を買いませんわ。　

それでは性能は？
Aという製管師の作る尺八の性能は常にBの作る尺八より良いという事は有ります。つまり価格は性能と関係無いというのは「一人の製管師の作る尺八の中では」と限定句が付きます。
それでは性能が良い尺八を作る製管師は人気が有るから価格も高いかと言えば、そうでは有りません。少なくとも今までは人気の無い製管師は少しの数の販売で生活しなければならないので、むしろ高かった。経済学者が首をひねることが当たり前に起きてるのが尺八の凄いところです。
情報が無く、閉じた市場とは、そういうものです。

今、インターネットの普及と尺八愛好家の技術向上で急速に状況が変わって行ってます。はっきり言いましょう、琴古と民謡尺八の製管師の大方が没落したのは、それが原因です。
それにしてもタイマイをはたいて高い尺八を買う有難い旦那が本当にいなくなりましたね。どんな世界でも初めは「マーク」に食わしてもらってるんです。でも「マーク」もやがて「シュマーク」に変わり、その一部は「スマート」に移り、業界の成熟が起こります。でもファンが成熟しても本当の通も減ってませんか？