価値の分散
- 2018/03/22
- 23:09
もう25年ほど前になりますけどね、雑誌の取材で「日本一の製管師は誰だ?」と質問されて、永廣真山だと答えました。これは当時の尺八事情を知っていれば誰でも、そう答えますよ。
去年も中国で同じ質問が出ました。同行した邦楽ジャーナルの田中社長は暫時考えて(オイ、考えるまでもネエだろう)、「私は小林一城だと思う」と答えました。失礼な人だね、貴方だってそう思うでしょう。誰か忘れていませんかね、隣にいる誰かを・・・。
では翻って「誰だ?」という事になると、答えがナカナカ見つからないというのが本当の所です。誰が一番売れているか?これなら答えられます。私です。これは数字ですから客観的な比較基準で答えが出るのです。でも私の所は安売りですから、売り上げ金額では一位とは思えません。メンバー達の人件費が有りますし、使っている経費も半端ではありませんので、手元に残る利潤高では更に下位になるでしょう。
では品質では?ここが昔と違って今は様々な名が挙がります。田中さんが「一城」と言うのは、彼の交友範囲では、「一城を使っている人が多いだろうなあ」と想像されるので理解できます。では真山は?彼も今でも日本一の有力候補でしょう。では泉州は? 沢山は?龍畝は? それを推す人なら他の製管師の名には納得しないでしょう。
これほど今は吹奏力の水準が上がり、その求められている音やテクニックにハマる尺八が分散しているという事です。
昔は、ある意味単純でした。40年前では真山で琴古以外の人なら「まあ、そうかな」で納まりました。今でも都山流の人のいる所(つまり日本全国)、真山の尺八を持つ人が必ずいます。最盛期には豊中市でベスト10に入る高額納税者でした。
その前は玉井竹仙です。何しろ1年に最高3千本を売った実績もさる事ながら、本気でかかれば真山すらタジログ技術力。さらに今に至るも製管業界の一流の過半を占める高水準の技術を持つ弟子達を多く輩出しました。生涯に生産した尺八は、露京時代からの通算では、おそらく4~5万本にも達するでしょう。
その前ですと戦前になりますが北原精華堂ですかね。そこで養成された製管師達は長く尺八界で活躍しました。初代北原篁山は戦後すぐ亡くなりましたが、つい20年前でも都山流の師範の2割くらいは北原系でした。凄いでしょう、誰でも「多い」と想像する島原帆山系だって一番多い時で1割なんて到底いってなかったんですからですから。
それでは前に戻って、「お前は誰だと思っているんだよ?」と問われれば、総合的には今でも真山だと思います。特に細工技術の見事さでは誰もチョット敵わないですよ。同業者になってみたら分かります。
製管技術が「鳴り」を意味するとすればジョン・ネプチューンです。30年前でも、あれだけ大きな事を言う三塚泉州が彼の前では「借りてきた猫」でした。今では常識化した「尺八の音と材質には何の関係も存在しない」を40年前に初めて言い、かつ誰でも(非科学的、非論理的な思考の人を除いて)納得出来る根拠と資料を示したのも彼です。ネプチューンや泉州は製管では類を見ない怪物ですね。
海童道曲だけの演奏使用と特定すれば一番は三浦龍畝だと思います。私は個人的には沢山が一番好きです。でも尾崎沢山も、もう75ですからね。50過ぎてからの作品に良いと思うモノは多いです。
何じゃと、「どこにも大橋、オマエの名が出てこないぞ。さてはオマエってサンシタだな」だと。バカ野郎、大馬鹿野郎、だから価値観の分化だと言ってんだろうが。
とことん詰めて「自分の要求にかなう尺八しか吹きたくない」と考える人はそうすれば良い。でも私は、尺八を吹きたいと思う人なら誰でも手に入り、かつ満足いただける尺八を御手元に届けたいのです。プロの人達で私の所の尺八を自分や弟子用に使ってくださっている方達も多いですが、その方達にも何ら特別の事はしていません。一般の方達と価格もサービスも同じです。私は尺八を「気軽、手軽な楽器」としたい。だからプロやオタクには別段の力点を置いていません。
こういう立ち位置の違いを明確に出来る、今は良い環境になったと思います。
去年も中国で同じ質問が出ました。同行した邦楽ジャーナルの田中社長は暫時考えて(オイ、考えるまでもネエだろう)、「私は小林一城だと思う」と答えました。失礼な人だね、貴方だってそう思うでしょう。誰か忘れていませんかね、隣にいる誰かを・・・。
では翻って「誰だ?」という事になると、答えがナカナカ見つからないというのが本当の所です。誰が一番売れているか?これなら答えられます。私です。これは数字ですから客観的な比較基準で答えが出るのです。でも私の所は安売りですから、売り上げ金額では一位とは思えません。メンバー達の人件費が有りますし、使っている経費も半端ではありませんので、手元に残る利潤高では更に下位になるでしょう。
では品質では?ここが昔と違って今は様々な名が挙がります。田中さんが「一城」と言うのは、彼の交友範囲では、「一城を使っている人が多いだろうなあ」と想像されるので理解できます。では真山は?彼も今でも日本一の有力候補でしょう。では泉州は? 沢山は?龍畝は? それを推す人なら他の製管師の名には納得しないでしょう。
これほど今は吹奏力の水準が上がり、その求められている音やテクニックにハマる尺八が分散しているという事です。
昔は、ある意味単純でした。40年前では真山で琴古以外の人なら「まあ、そうかな」で納まりました。今でも都山流の人のいる所(つまり日本全国)、真山の尺八を持つ人が必ずいます。最盛期には豊中市でベスト10に入る高額納税者でした。
その前は玉井竹仙です。何しろ1年に最高3千本を売った実績もさる事ながら、本気でかかれば真山すらタジログ技術力。さらに今に至るも製管業界の一流の過半を占める高水準の技術を持つ弟子達を多く輩出しました。生涯に生産した尺八は、露京時代からの通算では、おそらく4~5万本にも達するでしょう。
その前ですと戦前になりますが北原精華堂ですかね。そこで養成された製管師達は長く尺八界で活躍しました。初代北原篁山は戦後すぐ亡くなりましたが、つい20年前でも都山流の師範の2割くらいは北原系でした。凄いでしょう、誰でも「多い」と想像する島原帆山系だって一番多い時で1割なんて到底いってなかったんですからですから。
それでは前に戻って、「お前は誰だと思っているんだよ?」と問われれば、総合的には今でも真山だと思います。特に細工技術の見事さでは誰もチョット敵わないですよ。同業者になってみたら分かります。
製管技術が「鳴り」を意味するとすればジョン・ネプチューンです。30年前でも、あれだけ大きな事を言う三塚泉州が彼の前では「借りてきた猫」でした。今では常識化した「尺八の音と材質には何の関係も存在しない」を40年前に初めて言い、かつ誰でも(非科学的、非論理的な思考の人を除いて)納得出来る根拠と資料を示したのも彼です。ネプチューンや泉州は製管では類を見ない怪物ですね。
海童道曲だけの演奏使用と特定すれば一番は三浦龍畝だと思います。私は個人的には沢山が一番好きです。でも尾崎沢山も、もう75ですからね。50過ぎてからの作品に良いと思うモノは多いです。
何じゃと、「どこにも大橋、オマエの名が出てこないぞ。さてはオマエってサンシタだな」だと。バカ野郎、大馬鹿野郎、だから価値観の分化だと言ってんだろうが。
とことん詰めて「自分の要求にかなう尺八しか吹きたくない」と考える人はそうすれば良い。でも私は、尺八を吹きたいと思う人なら誰でも手に入り、かつ満足いただける尺八を御手元に届けたいのです。プロの人達で私の所の尺八を自分や弟子用に使ってくださっている方達も多いですが、その方達にも何ら特別の事はしていません。一般の方達と価格もサービスも同じです。私は尺八を「気軽、手軽な楽器」としたい。だからプロやオタクには別段の力点を置いていません。
こういう立ち位置の違いを明確に出来る、今は良い環境になったと思います。
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