銀の波
- 2018/05/01
- 11:24
5月になりました。気が引き締まる。これから本格的なチャレンジがまた始まります。
去年の秋以来の注文増で生産計画も狂ってしまいました。何しろ去年の12月に戴いた注文すら一部は未納入になっています。「それなのに展示会や海外展開をやるから益々きつくなるんだ」と身内からも言われますが、展示会は2か月前、格安航空券の手配が必要な海外展示会は最低でも3月前には決めなくてはなりません。国内の尺八の注文が明日からどうなるかなんて私に分るわけがないでしょう。
可能性としては明日からゼロになる事も一日に30本注文が来る事も有り得ます。マア実際には、そうはならないとは思いますよ。私の長いキャリアと顧客数の多さは「エントロピーの法則」が働くのです。東名高速に車がゼロになったりしないワケと同じです。思い立って外出をとりやめる人は常にいますが、分母が大きくなるほど、ある確率の範囲を越えないという事ですわ。
でも、そこはそれ、業界最大とは言っても世間的には零細企業の邦星堂ですから、20パーセントの注文増が3月増くと各所に歪みが出てきます。今回は「もう終わるだろう、そろそろ踊り場(階段の)だろう」と思っていて8か月続いてしまいました。5月もどうなるか分かりません。
そして今月からは毎月連続して海外展示会や商談が9月まで続き、黄金シーズンの10,11月は国内の展示会ですから、こりゃ正念場だわな。その上に3Ⅾ尺八の生産がスタートしますので、皆自分が招いた事とは言え、当分は体はきついと思います。
この国内注文増はカルチャー活動や尺八独学習得者のもたらしたものですですから、既成の流や会は激減の一途です。破断界?危機水域?そんなもん、とっくに通りすぎていて、もう終末期ですよ。
ですから、今のカルチャーや独習者による「小さなブーム」はプラスチック尺八と私と中古市場に恩恵をもたらしているだけで、海外需要の多い龍畝さんを除き、同業者の誰もが海外需要以外には注文が無い現状です。この世界で「勝ち組」に入る所でも、注文数はおおむね30年前の半分です。どうしてか?なんて今更言いませんよ。でも、私、中古品、プラスチック尺八が売れている事態が有る以上は価格に問題が有る事は直視した方が良いでしょうね。
では、既成の尺八界とは別に生じている、この「小さな尺八ブーム」の正体とは何でしょうか?国内現象に限って言いますと、日本政府の「オリンピックまでは伝統文化を強く推す。その後も推す方向で行く」という大方針が有りますが、それと同程度に「団塊の世代」がリタイヤ生活に入った事が有ります。
この「団塊の世代」とは狭くは1947年生まれから49年生まれを言いますが、通常は1953年生まれくらいまでを範囲に入れています(上は47年で確定ですが)。
この「団塊の世代」とは作家の堺屋太一の造語であることは広く知られていますが、堺屋さんは「この世代が通過した、それぞれの時代には、ことごとくブームが起こってきた」と言っています。その世代に入る私達なら誰もがハタと膝を打ちましょう。そうです、この世代こそは戦後に起こった様々なブームの主体なのです。時には社会にすら変動を起こしました。1970年代後半に起こった「第二次ベビーブーム」すら、結婚適齢期を迎えた「団塊の世代」がもたらしたものである事に異論は無いでしょう。
そして今、この世代はほぼリタイヤ生活に入りました。尺八界に起きているミニブームは、この世代が起こした「シルバー産業」としてのモノ、いわば「銀の波」です。常識から考えて、この世代の全員が「後期高齢者」になるまでは続くはずです。だから分かりますよね、「シルバー産業」の領域を超える現象は起こらないのです。
つまり、高額商品や束縛はもう無理なんですよ。でも、でもですよ、20万円以上の尺八や同額程度の免状を買う人が、仮に尺八を始める人の1割だとしても、分母が多くなれば絶対数は増加しますよね。私の生涯を賭けた活動とは、一言でいうと、これに尽きます。
去年の秋以来の注文増で生産計画も狂ってしまいました。何しろ去年の12月に戴いた注文すら一部は未納入になっています。「それなのに展示会や海外展開をやるから益々きつくなるんだ」と身内からも言われますが、展示会は2か月前、格安航空券の手配が必要な海外展示会は最低でも3月前には決めなくてはなりません。国内の尺八の注文が明日からどうなるかなんて私に分るわけがないでしょう。
可能性としては明日からゼロになる事も一日に30本注文が来る事も有り得ます。マア実際には、そうはならないとは思いますよ。私の長いキャリアと顧客数の多さは「エントロピーの法則」が働くのです。東名高速に車がゼロになったりしないワケと同じです。思い立って外出をとりやめる人は常にいますが、分母が大きくなるほど、ある確率の範囲を越えないという事ですわ。
でも、そこはそれ、業界最大とは言っても世間的には零細企業の邦星堂ですから、20パーセントの注文増が3月増くと各所に歪みが出てきます。今回は「もう終わるだろう、そろそろ踊り場(階段の)だろう」と思っていて8か月続いてしまいました。5月もどうなるか分かりません。
そして今月からは毎月連続して海外展示会や商談が9月まで続き、黄金シーズンの10,11月は国内の展示会ですから、こりゃ正念場だわな。その上に3Ⅾ尺八の生産がスタートしますので、皆自分が招いた事とは言え、当分は体はきついと思います。
この国内注文増はカルチャー活動や尺八独学習得者のもたらしたものですですから、既成の流や会は激減の一途です。破断界?危機水域?そんなもん、とっくに通りすぎていて、もう終末期ですよ。
ですから、今のカルチャーや独習者による「小さなブーム」はプラスチック尺八と私と中古市場に恩恵をもたらしているだけで、海外需要の多い龍畝さんを除き、同業者の誰もが海外需要以外には注文が無い現状です。この世界で「勝ち組」に入る所でも、注文数はおおむね30年前の半分です。どうしてか?なんて今更言いませんよ。でも、私、中古品、プラスチック尺八が売れている事態が有る以上は価格に問題が有る事は直視した方が良いでしょうね。
では、既成の尺八界とは別に生じている、この「小さな尺八ブーム」の正体とは何でしょうか?国内現象に限って言いますと、日本政府の「オリンピックまでは伝統文化を強く推す。その後も推す方向で行く」という大方針が有りますが、それと同程度に「団塊の世代」がリタイヤ生活に入った事が有ります。
この「団塊の世代」とは狭くは1947年生まれから49年生まれを言いますが、通常は1953年生まれくらいまでを範囲に入れています(上は47年で確定ですが)。
この「団塊の世代」とは作家の堺屋太一の造語であることは広く知られていますが、堺屋さんは「この世代が通過した、それぞれの時代には、ことごとくブームが起こってきた」と言っています。その世代に入る私達なら誰もがハタと膝を打ちましょう。そうです、この世代こそは戦後に起こった様々なブームの主体なのです。時には社会にすら変動を起こしました。1970年代後半に起こった「第二次ベビーブーム」すら、結婚適齢期を迎えた「団塊の世代」がもたらしたものである事に異論は無いでしょう。
そして今、この世代はほぼリタイヤ生活に入りました。尺八界に起きているミニブームは、この世代が起こした「シルバー産業」としてのモノ、いわば「銀の波」です。常識から考えて、この世代の全員が「後期高齢者」になるまでは続くはずです。だから分かりますよね、「シルバー産業」の領域を超える現象は起こらないのです。
つまり、高額商品や束縛はもう無理なんですよ。でも、でもですよ、20万円以上の尺八や同額程度の免状を買う人が、仮に尺八を始める人の1割だとしても、分母が多くなれば絶対数は増加しますよね。私の生涯を賭けた活動とは、一言でいうと、これに尽きます。
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