長管とは普通二尺管以上を言うようです。主として民謡尺八と古典本曲そして現代曲に使います。前は圧倒的に民謡からの注文でしたが、その後の民謡の急激な萎みにより今は古典本曲の需要が多いですね。
ところで長管の一番長いものはどの位ですか? 私も良くは知りませんが、これまで「楽器」として見た、聞いたという範囲なら、三尺五寸管です。A管(二尺三寸)のオクターブ下で実際の長さは1メートル13センチ有ります。
どういう使い方をしたかと言うと、酒井松道が「対話五題」で吹きました。諸井誠の「対話五題」は、もともと酒井竹保と横山勝也で一尺八寸と二尺三寸でしたが、酒井兄弟で演奏するときに三尺五寸管を採用しました。
また田嶋直士も尾崎沢山に依頼して作りました。それは手孔のコントロールが容易なようにトランペットみたいに管が一周しています。なおかつ途中をはずすと二尺三寸管になります。曲がっている部品は塩ビです。
音程や操作性を考慮すれば、このあたりが長さの限界だと思います。私は注文で1メートル越えの尺八も作っていますが、二尺三寸以上は全て古典本曲用でした。
手孔にフルートのように弁を使用すれば2メートルの尺八も可能でしょうが、楽器の必然から言ったらね・・・
オーダーが有ったら作るかって、勿論ですとも。仕事ですし、それも有りますが私はシャレもハッタリも大好きなのです。かねがねパフォーマンス能力の不足が邦楽家の欠点だと思っていました。
そういった点も岩田卓也さんは文句無しです。2年前の「尺八世界一コンクール」で1位になった時も審査員の間で、岩田さんのパフォーマンスには賛否両論が有りましたが、私は賛成です。
それはともかく、古典本曲「手向け」を一尺八寸と二尺で吹いて録音して聴き比べると長管の魅力が分かりますよ。
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