暑いですなあ。私が嫌いなものを列挙しますと、「昭和枯れすすき」、蛇、豚原真理教、まだまだ有りますが、その全部を足しても夏には及びません。それにしても今年の暑さは異常ですぜ。68年生きて来て、こんなヒデェのは初めてです。それでも30日からは仕事で涼しいイギリスに行くので、もうひと頑張りと辛抱します。
利口者の林嵐山のヤツ、今月早々にヨーロッパに先乗りしやがって、たぶんこの暑さを知らないですよ。私は19日からの展示会が有ったので、今も後始末で忙しく仕事しています。
こういう暑さが毎年だとオリンピックなんかどうなるんでしょう?開会式当日に台風直撃なんか有ったひにゃ目も当てられませんぜ。それにしても、どうして開催が真夏になったんでしたっけ?前みたく10月じゃいかんのですかね。
私のお客には農業をやっている人も多く、作っている野菜や果物が打撃を受けた方もいらっしゃいます。地元、小田原はミカン農家が多く、かつては大変な景気でした。弟の奥さんの実家もミカンをやっていたのですが、一時ほどではなくなって、私も義妹の実家がミカン栽培をやめた、時間にして、ほんの10年前まで、空いたミカン倉庫に買いためた竹材を保管してもらっていました。竹の保管場所としてミカン倉庫は最高でしたな。
今だから言いますが、1年も置いておくと自然に綺麗な模様が着くんです。たぶん倉庫に住み着いたミカンの菌かカビが原因ですぜ。竹に模様の着くのも竹藪の菌のせいだという事です。それが九州に多く、関東では無い、ここ30年の尺八用竹材が九州産主流なのは、この為です。それが足柄のミカン倉庫で、何処産の竹であれ同じように模様が着く。これって私しか知らないと思いますよ。
農業は自然条件との勝負です。気候に合わせて栽培品目の変更や品種改良をしてきました。ですから急激な気候変動が起こると打撃です。重要なのは気候変化が一時的なものなのか、それとも長期にわたるトレンドなのかという事です。ですから、ミカンでもそうですが多品種栽培で傾向を見ていくのです。
この暑さは「地球温暖化」が原因だという事で、ほぼ間違い無いのでしょうが、仮に温暖化だとしても、決して一直線に進むものでもありません。有る程度まで進むと、北極の氷が解けて冷たい水が南下、その結果メキシコ湾流の北上を妨害して、今度は一転して「何百年か寒冷期になる」という科学的な予想も有ります。緯度から言って北海道、サハリン並みの北米やヨーロッパが暖かいのはメキシコ湾流のオカゲですもんね。
ですから、どうにでも動ける様に、多品目栽培、改良、実験商品、こういうイノベーションを怠けていると農業は立ち行かなくなります。
お分かりですよね、重要なのは「傾向と対策」。どうなっても何とかなる様に複数の経路を持っておく事です。これを尺八で言うと、古典中心の教授産業としての尺八は終わったようです。これは、おそらく日本では逆行の起こらない「一方的トレンド」です。でも全くなくなりはしない。そうは言っても「保護区」みたいな感じになるのは、ほぼ間違いないでしょう。でも、新たに尺八界が確立しつつある海外市場においては、この先数十年は「教授産業としての尺八」が期待できます。
そして「実演を含めた鑑賞産業」への移行が起こるにせよ、それが従来の現代邦楽では駄目。これも結果が出ています。でも「聞いてつまらない」とは言っても「現代邦楽が好き」と本音で言う人も現に存在することは間違いありません。和楽器の鑑賞ソフトの将来像は、ここの数年でかなり明確になりましたが、それだって「蓋然性が高い」と言うだけで、「確実だ」と断言できるものでもないでしょう。
ですからね、各人が自分勝手にいろいろやる事、これに尽きますわ。上手くいった所に人が集中する。だけど極く少数派ではあっても、そこを大切だと思う人は、そこを守る。何しろ尺八も現在、気候と同じく稀に見る変動期に入っています。継続し、しかも短期の方向は見えるものの長期的には分らない事が多い。ですから大切なのは自由と多様性です。まあ、私如き者が今更言わなくったって、そうなりつつありますけどね・・・。
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