大井如水
- 2014/12/29
- 18:26
尺八とは、もともとは竹の節を抜いただけの笛でした。この状態でも竹の太さが合えば何本かに一本は良く鳴るという物が有ります。ただし一尺八寸管で直径30ミリくらい、極く細い物です。
今の尺八は32ミリから37ミリくらいが商品範囲ですから、ほとんどの物が、それより細いという事になります。商品範囲の竹だと、ほとんどの物が内径が広すぎて、楽器として「鳴らない」のです。ただ直径34ミリの竹でも10本か20本に1つくらい鳴る物が出ます。
素人さんが自分で作った尺八を「見てほしい」と持ち込んで来ますが、前は竹の節を抜いただけの所謂「ぶっこ抜き」が多かったのです。 「これじゃあ鳴りませんよ」と言っても・・・。 「いや、鳴ります」と納得しない人もいました。
「鳴る」と「少しでも音が出る」と混同している人が多かったですね。
同じ長さ、同じくらいの太さの尺八で、どうして鳴るものと鳴らないものとが有るのだろう? 当然こう考えます。それで、その原因は竹の内部の形にある、そう思いついたことから内部を加工することが始まりました。
漆に砥粉とか糊を混ぜたり、あるいは漆の代わりに膠を使ったり、様々の方法がとられ、やがて技法の一応の確立に至ります。明治の終わりから大正の初めの頃で大井如水をもって開祖とします。
勿論、異論も有ります。特許出願でもあるまいし「誰誰のほうが早い」との見解は有って当然です。一丸定吉のところでも申しましたが、「物事の始まり」にたいする見解の相違です。
ともかく、竹の内部をなんらかの方法で、言わば「壁塗り」をする。この頃に一般化してきた中継ぎによって竹の内部加工は非常に楽になり、また竹の寸法合わせが厳密に出来るようになって、近代楽器としての初期基盤が整っていきました。
大井如水作の尺八は山本邦山が使用していて、当時から「あの尺八、鳴らないよ。どうして邦山先生が吹くとあんな良い音が出るんだろう?」と評判でした。大井如水管がどれほどの尺八であるかは私には分かりません。サンプルが少なすぎるのです。
どのくらいの価格で取引されているかと言うと、業者間取引で10~12万円くらいだと田中一華山が言っています。中古管としては異例の高額で、それだと愛好家相手の実売価格では30~40万円になってしまいますが、こういうことでは田中一華山より分かっている人は、そんなにいないと思いますから、マアそうなのでしょう。
業者間の取引価格と愛好家相手の価格が大きく違うのは当たり前です。私が直接関わったケースを少し述べましょう。
納富寿童一尺八寸管 買い五万円 売り二十五万円
同じく一尺六寸管 買い 五万円 売り二十万円
初代青木鈴慕管 買い 五万円 売り二十万円
原田是斎管(四百年前) 買い 二十五万円 売り不明
横山蘭畝一尺八寸管 買い 六万円 売り二十万円
吉田晴風一尺八寸管 買い十万円 売り十二万円
マニアが思うほど業者は欲しがりませんよ。理由は売れないから。たとえば寿童ですが、荒木派のうち童門会と竹童社にダイレクトメールを出して、反応2件。すでに売れてしまった後から来た人は「異常に安い」と残念がっていましたが、愛好家の買っている価格が高いのは当たり前。相場ではありませんから。だから勘違いして業者相手に「何何管だが五十万くらいで引き取ってもらえないか」と言って、相場はその1割だと聞いて腰を抜かすんです。 「仲間に聞くと50~100万とか言ってましたが・・・」 「悪いけど素人のいう事です。他にも当たれば分かりますよ」と言うと、他に当たった後、1週間くらいして大体私の所にまた来ます。
今の尺八は32ミリから37ミリくらいが商品範囲ですから、ほとんどの物が、それより細いという事になります。商品範囲の竹だと、ほとんどの物が内径が広すぎて、楽器として「鳴らない」のです。ただ直径34ミリの竹でも10本か20本に1つくらい鳴る物が出ます。
素人さんが自分で作った尺八を「見てほしい」と持ち込んで来ますが、前は竹の節を抜いただけの所謂「ぶっこ抜き」が多かったのです。 「これじゃあ鳴りませんよ」と言っても・・・。 「いや、鳴ります」と納得しない人もいました。
「鳴る」と「少しでも音が出る」と混同している人が多かったですね。
同じ長さ、同じくらいの太さの尺八で、どうして鳴るものと鳴らないものとが有るのだろう? 当然こう考えます。それで、その原因は竹の内部の形にある、そう思いついたことから内部を加工することが始まりました。
漆に砥粉とか糊を混ぜたり、あるいは漆の代わりに膠を使ったり、様々の方法がとられ、やがて技法の一応の確立に至ります。明治の終わりから大正の初めの頃で大井如水をもって開祖とします。
勿論、異論も有ります。特許出願でもあるまいし「誰誰のほうが早い」との見解は有って当然です。一丸定吉のところでも申しましたが、「物事の始まり」にたいする見解の相違です。
ともかく、竹の内部をなんらかの方法で、言わば「壁塗り」をする。この頃に一般化してきた中継ぎによって竹の内部加工は非常に楽になり、また竹の寸法合わせが厳密に出来るようになって、近代楽器としての初期基盤が整っていきました。
大井如水作の尺八は山本邦山が使用していて、当時から「あの尺八、鳴らないよ。どうして邦山先生が吹くとあんな良い音が出るんだろう?」と評判でした。大井如水管がどれほどの尺八であるかは私には分かりません。サンプルが少なすぎるのです。
どのくらいの価格で取引されているかと言うと、業者間取引で10~12万円くらいだと田中一華山が言っています。中古管としては異例の高額で、それだと愛好家相手の実売価格では30~40万円になってしまいますが、こういうことでは田中一華山より分かっている人は、そんなにいないと思いますから、マアそうなのでしょう。
業者間の取引価格と愛好家相手の価格が大きく違うのは当たり前です。私が直接関わったケースを少し述べましょう。
納富寿童一尺八寸管 買い五万円 売り二十五万円
同じく一尺六寸管 買い 五万円 売り二十万円
初代青木鈴慕管 買い 五万円 売り二十万円
原田是斎管(四百年前) 買い 二十五万円 売り不明
横山蘭畝一尺八寸管 買い 六万円 売り二十万円
吉田晴風一尺八寸管 買い十万円 売り十二万円
マニアが思うほど業者は欲しがりませんよ。理由は売れないから。たとえば寿童ですが、荒木派のうち童門会と竹童社にダイレクトメールを出して、反応2件。すでに売れてしまった後から来た人は「異常に安い」と残念がっていましたが、愛好家の買っている価格が高いのは当たり前。相場ではありませんから。だから勘違いして業者相手に「何何管だが五十万くらいで引き取ってもらえないか」と言って、相場はその1割だと聞いて腰を抜かすんです。 「仲間に聞くと50~100万とか言ってましたが・・・」 「悪いけど素人のいう事です。他にも当たれば分かりますよ」と言うと、他に当たった後、1週間くらいして大体私の所にまた来ます。
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